オリゼメートの作用6.いもち病以外の病害に対する効果

オリゼメートは、いもち病に加えて白葉枯病、もみ枯細菌病、穂枯れ(ごま葉枯病菌)、内穎褐変病にも予防効果を示します。オリゼメートは、他のいもち病防除薬剤に見られない、細菌性病害に対する防除効果を併せ持つという大きな特徴を有しています。

白葉枯病

白葉枯病は、Xanthomonas campestris pv. oryzaeが寄生することにより発病する細菌性病害です。日本では主として西南暖地における発生が多く、台風・大雨などにより浸冠水した場合、本病に対する抵抗性の弱い早生種などで発生が見られ、地域によっては重要な病害になっています。オリゼメート粒剤の箱処理と本田処理の体系処理により、あるいは長期持続型箱処理剤の1回処理で防除することができます。

Dr.オリゼ箱粒剤の育苗箱処理とオリゼメート粒剤の2回防除におけるイネ白葉枯病の発病株率の推移

(石川県農業総合研究センター1998年)

もみ枯細菌病

白葉枯病と同様、もみ枯細菌病も水稲の細菌性病害であり、Pseudomonas glumae(Kurita et Tabei)Tominagaにより発病し、西南暖地で問題となっています。同じ細菌により育苗箱で発生する苗腐敗症が、かつては北日本で問題となりましたが、最近の発生は局所的であり、北日本において本田での発生面積は減少しています。オリゼメート粒剤の箱処理と本田処理の体系処理により、あるいは長期持続型箱処理剤の1回処理で防除することができます。

穂枯れ(ごま葉枯病菌)

穂枯れ(ごま葉枯病菌)はCochriobolus miyabeanusが寄生することにより発病する糸状菌による病害です。穂軸には黒色の短い線や不鮮明なしみができ、籾には微細な斑点が多くできたり褐変したりする症状が現れるため、穂全体が汚れたように見え、症状が進むと穂が枯死して稔実が悪くなり、青米や茶米が増える穂の病気の総称です。この病気は、ごま葉枯病菌、褐色葉枯病菌、小黒菌核病菌、すじ葉枯病菌などが感染して起こりますが、もっとも普通に見られるのはごま葉枯病菌による穂枯れ症です。

内穎褐変病

内穎褐変病はErwinia herbicolaが寄生することにより発病する細菌性病害です。出穂数日後から内穎の基部あるいは内外穎の縫合部付近から淡紫褐変し始め、1〜2日後には内穎全体が紫褐変あるいは暗褐変します。褐変は出穂後早い時期ほど鮮明で、登熟が進むにつれてやや退色するが、収穫期まで残ります。罹病籾の玄米、死米などの不完全米が多く品質へ影響します。

イネ以外の作物・病害に対する効果

オリゼメートは病原菌に直接作用せず、植物体が持っている防御機構を活性化させて植物を病害から守ることから、イネの病害だけでなく園芸作物の各種菌病に対しても安定した効果を示します。

ページの先頭に戻る